つたや
今年は京都市でも暖冬傾向のようですが、大雪がほとんど降っていないだけで寒いことは寒い。とは言え冬は魚介類も野菜もおいしい季節で、グルメな人々にとってはうれしい季節と言えるでしょう。管理人は別にグルメなワケではないため、冬はほぼほぼ鍋料理という名のズボラ飯で過ごしています。そんな冬もそろそろ終わりに近づきつつあり、今冬はまだ食べていない冬の味覚を食べたくなりました。カニ?フグ??いえいえ、管理人にとってはカニよりフグより絶対に食べておきたいのが貝のカキ。実はカキ自体はカキフライ用に2〜3回スーパーで購入していたものの、結局カキフライを作るのがメンドーになりすべて鍋の具にしてしまっていて、カキフライを食べていないことに気づいたのです。またカキを買ってもどうせ鍋にしてしまいますので、ここはお店で確実にカキフライを食べたい。カキフライといえば洋食店は定番ではあるものの、冬は定食店・食堂でも提供されています。そこで今回は、久しぶり?に昭和の定食店・食堂でカキフライをいただこうと、円町エリアへ向かいました。

丸太町通と西大路通の交差点(円町)を東へ65mほど行ったところにある定食店・食堂「つたや」。カレー激戦区なだけでなく、数多くの飲食店が軒を連ねる円町エリアの中でも定食店・食堂と言えばおそらく最も名前があがる、創業70年を超える老舗店です。外観からしてTHE 昭和。昔から地域に親しまれてきた定食店・食堂で、麺類や丼だけでなく定食類にも力を入れておられることもあり、老若男女に人気のお店と言えるでしょう。昼の営業時間は11:30〜ラストオーダー14:45、夜は17時〜19:45と、遅めのランチにも便利です。時刻は14:15、早速店内へ入ってみましょう。

ラストオーダー30分前にも関わらず、7割程度の客席がお客さんで埋まっていました。昭和の定食店・食堂にありがちなミドル・シニア男性の巣窟と思いきや、若い世代や幅広い年齢層の女性も食事をされているなど、さすがは円町エリアを代表する定食店・食堂の1軒です。サテ、なぜ今回、カキフライを洋食店ではなくなぜ街の定食店・食堂で食べようと思ったのか。洋食好きな管理人としてはカキフライこそ洋食店、と若かりしケツがまだ青かった時代は確かに思っていました。ただ、人は年齢を重ねるごとに日々アップデートされていきます。洋食店のカキフライも間違いなくおいしい、が、しかし。カキフライなんてものは本来、肩ひじ張らず、気軽に食べるものではないでしょうか。生ガキをはじめ、カキのグラタンやシチュー、シャンパン蒸し、ガーリックソテーなどとは異なり、自宅で作ってもおいしいのがカキフライであり、定食店・食堂や居酒屋など和が主体の気軽な飲食店の方がカキフライには似合うのではないか、と最近思っているのです。と、もっともらしいことを延々と書いてしまいましたが、本音では定食店・食堂のカキフライはリーズナブルだからなんですけどね。しかも業務用の冷凍モノを使われている飲食店は別として、洋食店であろうと定食店・食堂であろうと、揚げたてならおいしさに差はほとんどありませんから。ではメニューを確認してみましょう。



ありました、「カキフライ定食(冬季限定)」¥900。この“冬季限定”が重要ポイントです。冬季限定、つまりカキの旬である冬しか提供しないということは、ほぼ間違いなく生の新鮮なカキをフライにしている証拠と言えます。もちろん、近年の冷凍技術の発達は管理人も認めてはいるものの、カキフライはやはり冷凍モノではなく生のカキで食べたい。冷食のカキフライを数種類、自分で揚げて食べたことがあり、どれもそれなりにおいしいとは思いますが、生のカキで作るカキフライにはやはり及ばないとも感じています。冷凍カキ自体は鍋などに使うと生なのか冷凍なのかサッパリわからないほどのクオリティなのですが、カキフライとなるとハナシは別。そもそも冷凍カキをテマヒマかけて上手に解凍し、そこからコロモをつけて揚げるぐらいなら、生の加熱用カキを購入した方がはるかにラクチンでしょう。それすらも面倒で結局鍋に入れてしまう管理人にとってカキフライは生のカキ一択なのです。こちらはメニューが豊富でいつもなら悩みに悩むところですが、今回はスンナリと「カキフライ定食(冬季限定)」に決まりました。そしてもう1つ、昭和の定食店・食堂では注文したい「中華そば」¥650。ただ、両方注文するのは明らかに食べ過ぎです。いつもなら歯を食いしばって我慢するところですが、こちらでは「セットメニュー」として定食類や丼などに付けられる「ミニラーメン」¥330と「ミニうどん・そば」¥250が用意されています。さすがは昭和から続く人気店!と心の中で歓喜しつつ「カキフライ定食(冬季限定)」と「ミニラーメン」を注文してみました。

「カキフライ定食(冬季限定)」と「ミニラーメン」が到着。この陣容で合計¥1,230ですからかなりお値打ちですね。カキフライは中サイズが5粒を標準的なボリュームです。カキフライ好きとしては10粒でも20粒でも食べたいのですが、さすがに外食では恥ずかしい。人には適正な量というものがあるのですよ、と見知らぬ人からやんわり注意されても困ります。そもそも定食で¥900ですから相当リーズナブル。スーパーなどで生のカキパックを見ても、だいたい1粒¥100前後はしますから、こちらの「カキフライ定食(冬季限定)」は本当にありがたい価格設定だと思います。「ミニラーメン」もしっかりとしたチャーシューが1枚乗って¥330。しかもイマドキ?の凝ったラーメンではなく、定食店・食堂の中華そばらしい香りがオッサンにはたまりません。まずはカラダを温めるべく、「ミニラーメン」からいただきます。

これですよ、これ。この鶏ガラ醤油のシンプルなラーメンこそ、管理人が幼児の頃から慣れ親しんできた味です。このちょっと塩っぱめな、ラーメンライスにしたい味付けも昭和の定食店・食堂ならでは。しかもデフォルトでたっぷりとかかっているコショウが懐かしいおいしさです。昭和の時代、定食店・食堂でシワっシワのオッサンどもが白コショウ、いわゆるテーブルコショウを中華そばにアホほどぶっかけていましたが、オッサンとなった今、コショウまみれの中華そばの旨さがわかるようになりました。何の夢も希望もなく、ただ生きることに苦労する毎日に、ひとときの刺激を与えてくれるのがコショウまみれの中華そばだったのでしょう。ラーメンガチ勢にはまったく理解できない味かも知れませんし、こだわりのラーメン店でコショウを親の仇のようにぶっかければ間違いなく出禁になるでしょうが、昭和の定食店・食堂の中華そばにはこの刺激的な味が良く似合うのです。

揚げたてのカキフライ、おいしいに決まっています。アツアツのカキフライを口に入れてひと噛みすると、カキの激アツジュースが口の中にあふれ出て火傷必至ながらこれがおいしい。まさに芳醇な海のミルクです。こちらではタルタルソースと中濃ソースが添えられていますので、味を変えながら楽しむこともできます。管理人オススメのソースの使い方を伝授しておきましょう。2粒はタルタルソースで、2粒は中濃ソースで、最後の1粒はタルタルと中濃のミックスがツウっぽい?味わい方です。が、お好きに食べれば良いと思います。カキのシーズンは2月いっぱい、遅くても3月初旬には終了となるでしょう。カキフライをはじめ新鮮なカキを食べるなら今がラストチャンス。円町エリアでカレー店めぐりをされている人もこちらへお立ち寄りいただき、カキフライや冬にうれしいアツアツ・ホカホカの「中華そば」やうどん・蕎麦・丼各種を楽しまれてみてはいかがでしょうか。もちろん、定食各種も何を食べても満足できると思いますよ。
[2024年2月12日訪問]
つたや
●住所…京都市中京区西ノ京円町24(Google マップ)
●TEL…075-461-1739
●定休日…水曜日および第3火曜日
●タバコ…禁煙
●交通…JR「円町駅」から徒歩2分程度
●専用駐車場…なし(東隣にコインパーキングあり)
●ホームページ…なし
※詳しくは食べログ「つたや」でご確認ください。
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