昭和のケーキを存分に堪能できる円町の喫茶店

喫茶店・カフェ編
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CC’S

本日4月29日は「昭和の日」で祝日です。ビジネスの世界などでは平成生まれの活躍が目覚ましく、これからの社会を担っていくであろうと思われる反面、昭和生まれは老いて朽ち果てていく未来が待っています。管理人はド昭和生まれなもののタイミングが悪く高度経済成長期には生まれておらず、バブル景気の頃はまだ学生で、よくよく考えてみれば昭和のオッサンのくせに好景気を一度も経験したことがありません。社会人になって先輩から“仕事もないのにアメリカや南の島へ海外出張で行った”だの“名刺1枚でタクシーでも高級飲食店でも使い放題だった”だのと聞かされるだけの、実体験としては失われた●●年とやらの不景気を現在までず〜っと過ごしていて、もはや昭和の罰ゲーム世代としか言いようがありません。景気については不遇な人生ではありますが、昭和・平成・令和と3つの時代を体験でき、ある意味お得なのかも、と無理やり思い込むようにしています。で、本日は「昭和の日」ですので、今では食べる機会がすっかり少なくなった昭和の味をREPORTしようと、管理人より2年後輩として生まれた昭和の喫茶店へ訪問してみました。

丸太町通千本通の交差点(千本丸太町)を西へ290mほど行ったところにある喫茶店「CC’S(シーシーズ)」。かなり以前にX(旧Twitter)フォロワーさんにオススメされていたお店で、管理人も若かりし頃に伺った記憶はあるもののハッキリとは覚えておらず、いずれ訪問しようしようとは思っていて気づけばおそらく1年以上は経過していました。実は別のお店をランチとして訪問した後、フト思い出して伺うことに。本来であればランチで伺ったお店を先にREPORTすべきなのですが本日は「昭和の日」、この日にピッタリな1974年(昭和49年)生まれのこちらを先にREPORTいたします。さて、この「CC’S」の店名について“確か外国人の文学者が経営していたから…だっけ?”かなりうろ覚えだったのですが、ネット情報ではあるもののおそらく間違いなさそうな由来がヒット。アメリカの詩人「シド・コールマン(Cid Corman)」とその奥様が開業された喫茶店で「CC’S」と命名されたようです。大学などの教育機関が多く、遷都1200年以上の古都であり文化の薫りあふれる京都市らしい昭和の喫茶店ではないでしょうか。現在は奥様のご姉妹で昔から看板娘?として接客などを担当されているおばあさんが今も現役で杖をつきながらホールに立っておられました。また、営業時間についてWeb上ではさまざまな時刻が散見されていますが、2024年(令和6年)4月現在10:30〜16時の通し営業となっています。看板娘?のおばあさんがおっしゃっておられましたので間違いありません。時刻は14:40、今年で開業50周年を迎えられる店内へ入ってみましょう。

この古民家風の趣ある雰囲気は本物の昭和の喫茶店です。3名が座れるテーブル席4卓と2名テーブル席2卓となっていて、昔から地域の社交場として利用されてきたのでしょう、これだけで生活に密着した歴史的建造物と言えるのではないでしょうか。日本画や書も掲出されていて、今ではなかなか再現できない昭和モダンな風景。著作権的にどうか?と思い撮影はしませんでしたが、シド・コールマンと交流があった日本の高名な詩人・草野心平が、シド・コールマンの作ったフルーツケーキを題材として書かれた詩も飾られているなど、かつて文芸を愛した京都の若者たちが集い、語らっていた光景が目に浮かぶようです。こちらではスマホやタブレット端末ではなく、文庫本が良く似合います。子どもの頃は文学少年だった管理人ですが近頃はスマホでゴシップ記事ばかり読んでいると気づき、心底恥ずかしいと感じました。とは言えツラの厚さだけはあの頃より成長していますので、何事もなかったかのようにメニューを確認してみます。

だんだん思い出してきて、管理人が訪問したかなり昔は自家製アイスクリーム各種も販売されていたハズです。どうやら機械が故障したため、近年は提供されていません。そして訪問時はコーヒーとケーキを食べて、いずれサンドウィッチ各種も食べてみようと思っていたように記憶しています。ただ、さすがにランチを食べてすぐでしたので今回はサンドウィッチ各種はパス。またいずれ機会をみて再訪する予定です。この日は車内温度が32℃となるなど30℃を超える真夏日でしたので、「アイスコーヒー」¥370とケーキに決定。サテ、問題のケーキですが、昭和の喫茶店とは思えない充実っぷりとなっています。「ドミンゴケーキ」¥715?などというよくわからない興味津々なケーキにも気を取られますが、これまた年季の入ったマカボニー材製の円柱型ショーケースに陳列されているケーキ各種を見てみましょう。

以前は自動回転していたハズですが、現在は故障していて手動でしか回転しないようです。まぁこちらも開業して50歳ですから管理人もいちいち心当たりがあるぐらい、アチコチにいろいろとガタが出てきますわなぁ。古き良きアメリカらしいケーキの数々に思わず見とれてしまいます。しかし今回のお目当ては“The 昭和のケーキ”です。今の若い人には信じられないかもですが、昭和のケーキのクリームは生クリームではなくバタークリームが主流でした。まだ物流などの関係で新鮮な生クリームが手に入らなかった時代、その代用としてバターと卵黄、砂糖(他の作り方もありますが)で作るバタークリームのケーキこそ、管理人も子どもの頃に食べていた昭和のケーキだったのです。こちらのバタークリームケーキと言えば「エンゼルケーキ」¥660。イマドキの洋菓子店やベーカリーではまずお目にかかることはなく、せいぜい大量生産されている菓子パンや焼き菓子などでたまに見かける程度となってしまったバタークリームですが、バタークリームは決して生クリームの代用などではないその実力をしっかりとお見せしたいと思います。

「アイスコーヒー」と「エンゼルケーキ」が到着。「アイスコーヒー」は喫茶店らしい安定のおいしさです。そして問題はバタークリームたっぷりの「エンゼルケーキ」。上の赤いのがイチゴジャムなのも昭和らしい。ショートケーキのイチゴがとちおとめあまおうといったブランドイチゴではなく、いやイチゴですらないジャムなのも清々しさすら感じられます。昭和の子どもたちはこの白いバタークリームと赤いイチゴジャムのケーキにテンション爆アガりだったワケです。オヤ?そこの若いの、ひょっとしてこのケーキをバカにしてやいませんか?確かにイマドキのヨーロッパ系ケーキとは異なりますが、アメリカ流のケーキの味を知らずにケーキは語れませんよ。と、いうワケで早速懐かしいケーキをいただきましょう。

そうそう、この濃厚なクリームがバタークリームの真髄です。生クリームのホイップクリームと比べると悪く言えば重い、と表現されるものの、クリームとスポンジのみのシンプルな構成のケーキであればバタークリームに軍配を上げざるを得ない、個人的には考えます。そう、最近の生クリームは良く言えばサッパリとしていて口の中で消える上質な味わい、悪く言えば軽すぎてクリーム自体の主張が感じられないのです。現に、洋菓子やケーキの名店であっても生クリームとスポンジのみで勝負しているケーキはほとんどないのではないでしょうか。少なくとも管理人は生クリームの品質に定評があるとされるお店でも生クリームとスポンジだけのケーキはシフォンケーキを除いて思い出せません。必ずそれこそイチゴや季節のフルーツ、チョコレートなどが参加しているハズです。スポンジだけでも成立するのがバタークリームであり、この濃厚でクリーミーな味わいこそ、ケーキを食べている感を存分に堪能させてくれると改めて実感できました。昭和の味にふさわしいケーキです。昭和世代だけでなく、若い世代もこちらの昔ながらのケーキを味わっていただき、お父さんやお母さん、おじいさん、おばあさんがかつて憧れた味を試してみられてはいかがでしょうか。

[2024年4月28日 訪問]

CC’S(シーシーズ)
●住所…京都市中京区聚楽廻西町182-3(Google マップ
●TEL…075-801-4790
●定休日…火曜日
●タバコ…喫煙可
●交通…JR「円町駅」から徒歩10分程度
●専用駐車場…なし
●ホームページ…なし
※詳しくは食べログ「シーシーズ」をご確認ください。

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