竜安寺 あいおい
京都市内は学生の街であり、大学をはじめとした教育機関のキャンパスや校舎が数多く設置されています。加えて古くからの寺社仏閣が多く日本有数の観光地でもあることから、東京や大阪などの大都市ではない地方都市にも関わらず、学生や外国人を街ナカで目にすることも少なくありません。中でも“関関同立”と呼ばれる関西私大の雄の一角であり、京都市内の私立大学ではおそらく最大規模の学生数を誇る立命館大学は、周囲に金閣寺をはじめとする寺院や神社などの名所もあり、多種多様な人が行き交うエリアと言えるでしょう。そんな地域ですので飲食店も当然多く、当ブログでも立命館大学周辺の飲食店REPORTを多数アップしています。とは言え、これまでREPORTしてきたのは、どちらかと言えば客層が学生メイン、もしくは観光客メインのお店であり、地元住民も利用するお店は少なかったような気がしないでもありません。そこで今回は、学生や観光客だけでなく、地元の人にも親しまれていて、もういつから営業されているか管理人もよくわからない昔ながらの食堂・定食店をREPORTしてみました。
今出川通と西大路通の交差点(北野白梅町)を西へ900m、北へ60m、西へ120m、北へ40mほど行ったところにある食堂・定食店「竜安寺(りゅうあんじ)あいおい」。何だかドラクエで重要アイテムを拾いに行く勢いの複雑な道順となりましたが、嵐電「龍安寺駅」から徒歩1分程度と交通は便利で、訪問したのが日曜日だったため雨模様でしたが多くの観光客が散策されていました。「龍安寺」は1450年(宝徳2年)、応仁の乱において東軍の総大将であった管領・細川勝元によって創建。安土桃山時代には豊臣秀吉が何度か訪れるなど、日本の歴史を見つめ続けてきた古刹です。一般的には世界遺産でもあり、和の美しさを表現した「石庭」でご存知の人も多いかも知れません。こちらは、そんな龍安寺にほど近い昭和の食堂・定食店で、昔から地元の人から頻繁に利用されています。営業時間はGoogleマップ情報では10:30〜18時の通し営業と、遅めのランチにも便利。また、京都市内を代表する餅食堂である大力食堂、千成食堂、力餅食堂、そして相生食堂の1軒であり、各地に点在する相生食堂の支店や系列店ではなく、他の餅食堂同様、遥か昔に暖簾分けされたお店だと思います。餅食堂系はうどん、蕎麦、丼に、巻き寿司やいなり寿司といった寿司やおはぎなどの餅スイーツを基本メニューに、お店によっては定食類を提供されていることが多く、京都市内の相生食堂でもお店によってメニューは全然違うのです。時刻は14:50、遅めのランチをいただこうと、店内に入ってみます。
こんなワケのわからない時刻にも関わらず、近所のシニアらしきグループと外国人観光客ペアが食事をされていました。管理人はかなり以前に伺ったことは覚えているものの、もう何年前?何十年前?の訪問なのかまったく記憶にありません。確か当時はお昼どきで学生客が多く、定食類も豊富だったと曖昧ながらに思い出しているのですが、現在はどのようなメニューになっているのでしょうか。早速メニューを確認してみましょう。
定食メニューを拝見しながら、どこの国のメニューなのか頭が混乱してしまい、お店の人に“日本語のメニューはありますか?”と尋ねてしまいました。良く見れば一番下に青い細字で日本語表記されていますね。英語と中国語でどうにか読み解く決意を固めかけたところだったのですが、お店の人に“一番下が日本語ですよ”と教えていただけ本当に助かりました。英語・中国語・ハングル表記をされているため、外国人観光客も多いのでしょう。アレ?でも定食類って6種類しかなかったっけ?ボンヤリとした記憶ながら昔に伺った際は、大量の定食メニューがあったような気がしたのですが…もしかしたら加齢による記憶違いかも知れません。最近良くあることです。昭和の食堂・定食店の「中華そば」¥650やこの時期にうれしいうどん類、なぜか「他人丼」¥850や「かつ丼」¥900より安い「天ぷら丼」¥750など魅力的なメニューにも心奪われますが、ここはやはり定食。その中でも圧倒的な洋食なのになぜか高級洋食店ではまずお目にかかれない「ミンチカツ」¥800を注文してみました。
定食メニューの「ミンチカツ」が到着。うまそうです。おいしそう、ではなく、うまそう。メンチカツってハンバーグのようなタネ(実際にはハンバーグのタネではありませんが)をカツにした、どう考えても洋食なのですが、洋食店ではあまりメジャーではない、何ならお店によっては提供すらされていないナゾメニューです。ではどこが主戦場かと言えば、食堂・定食店や喫茶店、後はお肉屋さんでコロッケと並ぶテイクアウトメニューとして脚光を浴びています。管理人もメンチカツは大好きではありますが、最近食べていません。正確には食べる機会がなかった、というべきでしょうか。ハンバーグのカツ版にも関わらず、どうも洋食界ではあまり重要視されておらず、不憫でなりません。特にお肉屋さんで購入する揚げたてのミンチカツは驚愕のうまさなのにほぼオヤツ扱いであり、ランチやディナーのメインディッシュではないと思われているのでは?と、気の毒にすら感じます。皆さん、よく考えていただきたい。ハンバーグのタネ(実際には違いますが)に小麦粉をまとわせ、溶き卵をくぐらせてパン粉を付けて揚げる、というハンバーグ以上に複雑な工程を経て作られる料理なのですよ。自作だったらかなり面倒な料理なのにオヤツ扱いはさすがに許せません。ミンチカツとポテトサラダは作るのが面倒な割になぜか軽んじられている二大巨頭なのです。では皆さんにミンチカツの実力を知らしめるべく、早速いただいてみましょう。
揚げたてのミンチカツは立派なメインディッシュです。素直にうまい。この合挽き肉の旨味にタマネギなどの野菜の食感が組み合わさって、ハンバーグとは異なるうまさではないでしょうか。ミンチカツにかけられたケチャップと中濃ソースのジャンクさも良く合います。これはご飯のオカズとしても相当に有能。飲む人ならビールやハイボールなどにも最高のツマミでしょう。実はこのミンチカツ、メンチカツと呼ばれる方が有名かも知れません。そして発祥は東京・銀座にある老舗中の老舗洋食店「煉瓦亭」と言われています。洋食界の巨匠でもある「煉瓦亭」考案のメニューが、洋食店以上に食堂・定食店や喫茶店、精肉店や惣菜店で広がったのかを考えると、おそらくですがより庶民に寄り添った誰もが親しみやすい味だったからではないでしょうか。揚げたてをアヂアヂ、ハフハフしながらいただくミンチカツは本当にうまいのです。こちらの「ミンチカツ」もかなり高いクオリティでしたので、寒い冬、リーズナブルな価格ながらアツアツのうまさを堪能できる「ミンチカツ」をはじめ、各種定食やうどん、蕎麦、丼などをこちらで試してみられてはいかがでしょうか。観光ついでにも気軽に立ち寄られるお店ですよ。
[2024年12月8日訪問]
竜安寺 あいおい
●住所…京都市右京区谷口垣ノ内町1-6(Google マップ)
●TEL…075-462-8694
●定休日…金曜日
●タバコ…禁煙
●交通…嵐電「龍安寺駅」から徒歩1分程度
●専用駐車場…なし
●ホームページ…なし
※詳しくは食べログ「竜安寺 あいおい」を検索してください。
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