赤おに
ついに先々週から予告していた“洋食の冬のご馳走”をREPORTする日がやってきました。“洋食の冬のご馳走”で思い浮かぶのは、あくまで管理人的にはですが、まずグラタンやドリアでしょうか。そして先週REPORTしたカキフライに代表される冬の味覚である真牡蠣を使った料理も外せません。そしてやはり洋食と言えば“シチュー”でしょう。日本の洋食でのシチューはザックリ分けてホワイトシチューとブラウンシチューの2種類。ホワイトシチューはチキンやホタテなどの魚介類がメイン具材となることが多く、ご家庭でも冬に一度は作られる人が多いのではないでしょうか。一方、ブラウンシチューはビーフシチューやタンシチューが代表格。こちらは家庭向きというよりは、洋食店やレストランなどでの外食のイメージが強いように感じます。実際、洋食店でホワイトシチューがないワケではないものの、提供しているお店は意外と多くありません。特に高級な洋食店ほど圧倒的にブラウンシチューで、お店の看板メニューになっていることも少なくありません。今ではカレーのルーと同じようなビーフシチューのルーも市販されていますから、自宅でも簡単に作れるようになりましたが、昭和の時代にはそんな便利なキューブタイプのルーなどはほぼ存在せず、シチューなんて外食一択だったように記憶しています。それでもホワイトシチューは小麦粉をバターで絶対に焦がさないように炒めて顆粒コンソメを熱湯で溶いて作ったスープで伸ばせば、自宅でもそれなりのものは作れますが、ブラウンシチューはよほどの技術がなければ作れませんでした。実際、おそらくビーフシチューの原型であろう牛肉の赤ワイン煮込みは、フランスの主にプロヴァンス地方などでは家庭料理として親しまれてはいますし、材料さえ揃えれば自宅でも作れますが、日本の洋食のビーフシチューとはほぼ別の料理です。まぁ、昔からハインツのデミグラスソース缶を使えばビーフシチューなどのブラウンシチューは作れたのですが、コスト面や労力、時間から考えてもうほとんど趣味の料理、よほどの料理好きでもない限り自宅で作ったりはしなかったでしょう。そんな背景もあってか、ブラウンシチューは洋食店やレストランで食べる料理、と印象づけられているのかも知れません。もっとも、あまりに手間なのか、洋食店でもブラウンシチューを提供するお店はかなり少なくなりましたが。今回REPORTするのはそんなブラウンシチューの中でも最もポピュラーなビーフシチュー、しかもタダのビーフシチューではなく、南極観測越冬隊の調理担当として2回も参加された料理人が、昭和基地内で隊員に振る舞っておられた「南極ビーフシチュー」です。

ナンダココは?と思われるでしょうが、今回は駐車場からスタートします。新林本通と国道9号(五条通/山陰道)の交差点(国道沓掛口)を北へ道なりに2kmほど行ったところにある「国際日本文化研究センター」の福利施設棟1階の洋食店「赤おに」。管理人はまったく知らなかったのですが、以前、Xのフォロワーさんから京都市西京区のお店を大量に教えていただき、その中に南極観測越冬隊で食べられていたビーフシチューを提供しているお店があると知って、自宅からかなり遠くていつもなら“行けたら行くわ”な距離だったにも関わらず、寒い時期に絶対訪問してみたいと考えていました。交通アクセスは立地柄、ほとんどが車かバイク、公共交通機関なら市バスなどのバス停「桂坂小学校前」または「花の舞公園前」から徒歩5分程度です。交通アクセスについて詳しくは「国際日本文化研究センター」のアクセスをご覧いただくか、Google マップをご確認ください。駐車場はご覧のとおり車が8台ほど停められます。こちらの施設は周辺環境がとにかく大自然?に囲まれていて、ドライブにもピッタリ。暖かい時期であれば車やバイクで気持ちよくドライブやツーリングがれらに訪問できるでしょう。では駐車場からお店へと向かいます。


自然あふれる環境ですね。暖かくなると野生の鹿も訪問されるようです。奈良公園の鹿は人懐っこいですが、京都市内の野生の鹿は警戒心MAXですので、もし発見しても近づかないように。管理人はかつて渓流釣りをしていて、春になると賀茂川や高野川の上流へ出かけていましたが、たま〜に野生の鹿やオオサンショウウオなどと遭遇していました。オオサンショウウオは単に釣りの邪魔になるだけですの別に良いのですが、鹿はかなりの距離を取って人間をガン見した後、すぐに逃げてしまい、これまで特に被害を受けたことはないものの、万一ウッカリと知らず知らずに近づいてしまった場合、人間に危害を加えないとは限らないのです。鹿に限らず野生動物にとって人間は恐怖の対象でしかなく、人間が近づくとパニックを起こして突進してくる場合もあります。山沿いの舗装道路などで車を運転していて、鹿などの野生動物と交通事故を起こした経験がある人もいらっしゃるかも知れませんが、車だからケガなく済んでいるだけ。生身の人間であればヘタをすれば大ケガにつながりますので、野生動物にはむやみに近づかないようにしましょう。

お店の入口に到着しました。こちらはの営業時間は10時から営業されていてランチメニューは11:30〜ラストオーダー14時、夜は17時〜ラストオーダー20時となっています。なぜか?天然石の販売コーナーもあるようです。では、店頭のメニューを確認してみましょう。


ランチメニューはおおむね¥1,000台序盤から中盤の価格帯がほとんどで、リーズナブルに利用できますね。「うなぎ丼」¥1,680などの和のメニューも用意されていますが、こちらの南極観測越冬隊に参加された店長さんは、もともと京都の有名料亭や料理旅館で修行を積まれていたそうです。個人的には特製デミグラスソースの「ハンバーグ」¥1,480や「エビフライ ランチ」¥1,480も気になりますが、今回はビーフシチュー。時刻は12:30、早速店内に入ってみましょう。


広くて清潔感あふれる店内です。「国際日本文化研究センター」の利用者だけでなく、ファミリーやグループなどのお客さんも見受けられます。お一人様のお客さんもいらっしゃいました。これだけ席数が多いとお一人様も利用しやすいですね。では改めてメニューを確認してみます。






食べたことはないのであくまで管理人の予想に過ぎませんが、これまでの経験上、こういうお店の「欧風カレー(ミニサラダ付)」¥930などのカレーライスは絶対においしい。メニューを見ただけで「カツカレー(ミニサラダ付)」¥1,030に興味シンシンだったため、またコッソリと再訪して食べてみたいと思います。そして今回のお目当ては「南極ビーフシチュー(サラダ・ライス又はパン付)」¥2,480です。メニューを拝見する限り、最高額メニュー。貧乏な管理人にはお財布が心配になる価格ではあるものの、“数量限定メニュー”や“国産牛を使用”、“じっくりコトコト4時間半 煮込みました!”なんて書かれたら食べないワケにはいきません。“4時間”でも“5時間”でもなく“4時間半”なのもミョーにリアリティがあるじゃないですか。しかも“昭和基地の越冬隊員より大好評を得た”とまで説明されているのですから、京都の寒い日にはピッタリのハズ。京都市の冬は寒くてキライ、たまに省略して京都はキライ、と言いまくっている管理人ですが、京都の寒さより南極の寒さの方が寒いに決まっています。ちなみにイメージとして地球で最も寒い感じがするのは北極と南極が双璧のように思われますが、実際には北極より南極の方がマイナス20℃程度、気温が低いのだとか。南極はもう地球上で最も寒い立地と言えるでしょう。京都市の冬は寒い寒いと文句ばかり言っている人は、南極観測越冬隊に参加して本当の寒さを体感すればいいと思います。管理人は京都市の春夏秋冬を何となく愛していますので南極には行かなくても大丈夫です。では「南極ビーフシチュー(サラダ・ライス又はパン付)」を注文してみましょう。

「南極ビーフシチュー(サラダ・ライス又はパン付)」が到着。ビーフシチューですので今回はパンをチョイスしています。高級洋食店にありがちな牛肉オンリーのビーフシチューではなく、ジャガイモやニンジン、ブロッコリーと具だくさんでお腹いっぱいになりそうな親しみやすいビジュアルです。旨そうな香りが漂ってきてもうガマンできませんので、まずは具ナシで味わいます。

ビーフシチューらしいドロッとした感じではなく、おそらくあまり小麦粉を使われていないからなのでしょうか、サラサラとしたスープに近いビーフシチューです。アツアツなのがうれしい、まさに冬のご馳走。サラサラしているものの味自体は濃厚で、赤ワインをたっぷりと使われたほのかな酸味もあいまって、かなり食べやすくて贅沢な味わいのビーフシチューではないでしょうか。これは個人的にはライスよりパンが正解ですね。皮付きポテトやニンジン、ブロッコリーもおいしい。身も心も温まる、この一皿で栄養的にも完結する、極寒の地にふさわしいビーフシチューだと思いました。

牛肉は口の中で溶けてしまうほどの柔らかさです。脂身少なめで牛の赤身肉の旨味を存分に楽しめます。高級店のビーフシチューほど、脂が多いお高めな牛肉を使用されているお店も見受けられますが、ビーフシチューにした場合、はじめのひと口、ふた口目ぐらいまでは旨いと感じるものの、食べ進めるにつれてそのクドさに飽きてしまいます。そもそもビーフシチューは牛スネ肉や牛モモ肉など、牛肉の中では比較的安価な赤身が多い部位で作る料理です。コトコト煮込んだ牛肉の旨さは赤身肉の旨味であり脂の旨味ではありませんので、口の中で牛肉がホロホロと崩れるこちらのビーフシチューは理にかなった逸品と言えるでしょう。南極観測越冬隊に絶賛されるのもうなずけるおいしさでした。ネット情報では秋〜春の季節限定メニューと書かれていましたので、もうそろそろ終了されるかも知れませんが、「南極ビーフシチュー」を食べてみたい人は近日中にお店へ電話などで確かめてから、ぜひお出かけください。
[2025年3月29日訪問]
赤おに
●住所…京都市西京区御陵大枝山町3-2 国際日本文化研究センター 福利施設棟1階(Google マップ)
●TEL…075-331-9358
●定休日…日・祝日、年末年始(12月29日~1月3日)
●タバコ…禁煙
●交通…京都市営バス「桂坂小学校前」または「花の舞公園前」バス停から徒歩5分程度
●専用駐車場…あり
●ホームページ
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