グリル デミ
昨夜(8月29日)肉祭りを開催して一夜明け、夕方にはもう肉を求めている46歳なんているのでしょうか。ここにいるよ(青山テルマ風)。今夜も冷やし中華探しはお休みし、5年ぶりの訪問となる、ある洋食店に向けて原付を走らせていました。思えば6月から約3ヵ月間、あまりの暑さにデミグラスソースを食べずに過ごしていたのですが、もう限界です。デミグラスソースでぐつぐつと煮込まれたタンシチューが食べたい!管理人の願いは人生最後の瞬間、タンシチューにまみれて息絶えること、というぐらいタンシチューが好きなのです。
同志社大学今出川キャンパスを南進し、烏丸丸太町へ。さらに南へ行くと京都新聞社、そして京都商工会議所があり、夷川通という東西の通りを西へ100メートルほど進むと小さな店構えの洋食店「グリル デミ」があります。名前の通り、デミグラスソースに命を懸けた男たちが営む洋食店。と勝手に解釈しています。看板メニューであり名物は「タンシチューハンバーグ」¥1,550。5年前に訪問した際、「タンシチューハンバーグ」はありましたが、他のメニューと同じ扱いでした。この5年で看板メニューにまで成長した「タンシチューハンバーグ」を、再び試してみましょう。
ラストオーダー21:30ぎりぎりの入店にも関わらず、お店の男性スタッフが笑顔でお出迎え。お一人様なのでカウンター席に座ろうとすると、「テーブル席でもいいですよ」とのあたたかな対応に、“人っていいもんだな”と久しく味わったことのない人の優しさにふれることができました。
一応、メニューを見るふりはしますが、すぐに名物「タンシチューハンバーグ」を注文。セットとしてサラダ、ライス、味噌汁がついてきます。しかし、夏季限定の「冷製かぼちゃスープ」¥300が、¥200で味噌汁と交換できるので、「冷製かぼちゃスープ」を頼んでみました。
まずは「冷製かぼちゃスープ」が到着したので、味わってみます。
あまーい!!
スイーツか!というぐらい、強い甘味を感じるかぼちゃスープです。管理人も自分でかぼちゃの冷製ポタージュを作りますが、この甘味は再現できません。砂糖か何かを足さないと絶対ムリです。管理人にとっては少し甘すぎるかも…と感じましたが、かぼちゃの風味がしっかりと感じられる、なめらかでおいしい冷製スープですので、甘い物が好きな方はぜひ注文してほしいと思います。
さて、いよいよ「タンシチューハンバーグ」です。まずはタンシチューからいただきます。
あっ!5年の間に、デミグラスソースがやわらかでまろやかな味わいに変化している!!これは正直、驚きました。以前食べたときは昭和のデミグラスソース、つまり万人受けしない苦味のあるデミグラスソースだったからです。この苦味のあるデミグラスソース、管理人は大好きなのですが一般的には結構評判悪いんですよね。今はもう存在しませんが、かつて京都洋食の代表格であった「グリル富永」や「丸太町東洋亭」、「金平」などは、みんな苦味が強くてコクのあるデミグラスソースでした。しかし、特に女性からはその苦味が不評だったように思います。ちなみにデミグラスソースのハンバーグでは、よく目玉焼きが上に乗っていますが、あれは目玉焼きの黄身をつぶしてデミグラスソースと混ぜ、まろやかな味にするためのものだと、東京の老舗洋食屋「たいめいけん」の初代・茂出木心護 氏が語っておられました。デミグラスソースハンバーグの上に目玉焼きを乗せて提供したのは、「たいめいけん」が元祖だそうです。
この5年の間に、お店も試行錯誤されたのでしょう。伝統の味も時代に合わせられなければ、いずれ廃業となってなくなります。やわらかで優しい甘味とまろやかで濃厚な現在の「グリル デミ」のデミグラスソースなら、若い人やマダムもおいしいと感じ、京都の洋食文化も廃れることなく続いていくと思います。ただ、個人的にはやはり、以前食べたときに“これは「グリル富永」の味!”と衝撃を受けたあの感動がなくなったのは、少し惜しいような気がしないでもありません。
ハンバーグはさすがのクオリティです。ハンバーグを切ると中からたっぷりの肉汁があふれ、タンシチューに流れ出ます。
このビジュアルだけで、もうおいしいのは間違いありません。ぶ厚いボリュームたっぷりのハンバーグにデミグラスソースのタンシチューがたっぷりかけてあって、¥1,550は本当にお値打ちです。タンシチューを作るのはかなり面倒で、洋食店でもやっていないお店の方が多いように感じます。また、タンシチューを提供していても、¥4,000、¥5,000して当たり前の世界。タンシチューが大好物な管理人も、年に数回しか食べないのは、その値段も大きな理由です。それが大きなハンバーグとタンシチューを両方食べられて¥1,550は、文句を言うとバチが当たるレベルだと思います。
9月も深まると、随分涼しくなり、温かな食べ物が何よりのご馳走となるでしょう。そんな秋に京都へ出かけられた際には、ぜひ京都洋食の伝統が進化した「グリル デミ」のデミグラスソースの味を、手軽な値段でお楽しみください。イタリアンやフレンチにも決して負けていない洋食の贅沢な味わいに、必ずや満足していただけると管理人が自信を持って保証します。
[2018年8月30日訪問]
= グリル デミ =
●住所…京都市中京区夷川通室町東入ル巴町80 パルマビル1F
●TEL…075-211-7661
●定休日…月曜日および第3火曜日
●備考…店内禁煙
●ホームページ…https://twitter.com/hashtag/%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%83%AB%E3%83%87%E3%83%9F
※より詳しく知りたい方は食べログ「グリル デミ」で検索してください。
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