ビブグルマン獲得店で食べる蕎麦

和食編
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蕎麦 ろうじな

フランスのタイヤメーカー「ミシュラン」が発行するグルメガイドブック「ミシュランガイド」。“なぜタイヤメーカーがグルメガイドを?”という素朴な疑問はありますが、世界で最も有名で権威あるグルメガイドです。フランスのシェフたちは、ミシュランの星(1つ星〜3つ星)に一喜一憂しているそうで、それだけ客足に影響するということなのでしょう。日本版は2007年に東京、2009年からは京都なども掲載されるようになりましたが、基本は高級店が対象で、管理人には関係のないものと思っていました。

しかし、「ビブグルマン」と呼ばれるコストパフォーマンスによる評価もあるそうで、京都の飲食店は5,000円以下の特におすすめの食事を提供しているお店が掲載されています。管理人は「ミシュランガイド」や「ビブグルマン」などの評価基準には、正直かなり懐疑的。食べた一般の人がお店の評価をしてこそ、お店のためになると考えているからです。もっとも食べログのように、レビュアーによって評価基準がマチマチなのも別の意味で問題ですが。

ただ、やはり評価が高いと聞けば気になります。そこで今回は、寺町二条を200メートルほど北に行き、夷川通を西へ少し入った「蕎麦 ろうじな」を訪問しました。「石臼挽き自家製粉手打ち十割蕎麦」を信条としているこのお店は、調べたところ1990年代、京都の蕎麦屋に十割蕎麦のニューウェーブを巻き起こした、京都市東山区の「古川町商店街」にあった今はなき蕎麦の名店「虚無蕎望なかじん」と関係が深いお店のようです。

あくまで個人的な感想ですが、十割蕎麦は好みが分かれる蕎麦だと思います。まず、大前提として熱い蕎麦はふやけるので提供できないのが欠点です。次にツナギを使わないため、食感はどうしても「二八蕎麦(小麦粉2:蕎麦粉8で配合された蕎麦)」よりも劣る点。蕎麦のコシやツルツルとした舌触りは、ツナギの小麦粉で生み出されるので、十割蕎麦で食感を出すのはとても難しいと言わざるを得ません。もちろん、十割蕎麦にも利点はあります。最大の特徴は香りと味わい。口につけた瞬間、口に含んで噛み、そして喉を通るまで、蕎麦の官能的な香りと味わいに全身が包まれたような至福の時間を過ごすことができます。

では「蕎麦 ろうじな」に入店してみましょう。

凛とした店内では、女性の店員2名がテキパキと仕事をされています。幸い、座席はギリギリ空いていたので待たずに座れました。メニューを見ながら、このお店の名物は「はりそば」¥1,000であることを思い出します。「はりそば」とは、スダチの風味が活きている冷たいつゆ蕎麦のこと。そこで今回は、はりそばに鴨ロース煮の薄切りが乗った「冷し鴨南蛮」¥1,400を注文しました。

見た目から美しいビジュアルです。まずはつゆを口に含むと、鰹節の風味とかすかな塩気、そしてスダチの爽やかな風味が口の中を支配します。控えめな味わいは和食、そして京都の味そのもの。次に十割蕎麦をいただきます。細めの手打ち蕎麦にも関わらず、コシも舌触りも十割蕎麦とは思えない仕上がりです。そして何より控えめなつゆのおかげもあり、純粋な蕎麦の味わいがダイレクトに脳まで届きます。また、ロゼ色の鴨ロースには適度な調味が施されながら、鴨の野性味あふれる風味が損なわれていません。脂もいい具合に入っていて、意外にも“鴨を食べている感”がしっかりと残ります。

すべてが高いレベルで調理された「冷し鴨南蛮」です。“おいしい”の次の段階へ進んだ味ではないでしょうか。よく味わって食べていると知らない間になくなっていた、できればおかわりしたい、と願いつつ、そんな人は店内に誰もいないのでおかわりは諦めました。「そばがき(小)」¥600(大は¥1,000)を追加で頼もうかとも考えましたが、この味の余韻を楽しみたかったこともあり、「そばがき」は次回訪問時に食べてみようと思います。

ビブグルマンの獲得は置いておくとしても、蕎麦好きが多い京都にあって、名店と呼ばれる存在であることは間違いありません。“京都は関西だからうどんだよね”と思っている他県の皆さん、京都のうどんもおいしいですが、実は蕎麦処でもあります。京都に来られた際は、ぜひ京都の蕎麦の実力を「蕎麦 ろうじな」で味わってみてください。長野県や山形県など蕎麦の産地のお店や東京の名店にも負けない味が、ここにはあります。

[2018年9月1日訪問]

蕎麦 ろうじな
●住所…京都市中京区丸屋町691
●TEL…075-286-9242
●定休日…月曜日
●備考…店内禁煙
●ホームページ…http://www.roujina.jp/

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