せんぼんぐらばー館
管理人が生まれる前、昭和40年(1965年)代の最盛期には“東の河原町、西の千本”と呼ばれ、千本通を中心に今出川通から三条通ぐらいまでの西陣地域は京都有数の歓楽街だったそうです。多くの人々が買物や映画などにブラブラと歩いていたことから“千(せん)ブラ”の呼称も定着していました。昭和50年代以降からはすっかりさびれた雰囲気だったのですが、最近では多くの店舗が営業するようになり、街に活気が出始めています。
そんな西陣千本エリアで、“西の千本”と呼ばれた頃の盛況を今に伝える街中華の名店があります。千本今出川の交差点を150mほど南に行ったところにある「せんぼんぐらばー館」。「西陣大江戸」から千本通を西挟んで向かいにあるお店です。
管理人がこの界隈をウロウロし始めた1980年ぐらいには既にありましたので、おそらく40年以上は営業されていると思います。いつ前を通ってもお客さんで賑わっているお店です。店名からもわかるように単なる街中華店ではなく、長崎料理の流れを汲む中華料理をいただくことができます。では店内へ入ってみましょう。
21時閉店のお店で、閉店前の20:15に到着したものの、相変わらずお客さんで賑わっていました。幸いカウンター席は空いていましたので待たずに着席し、メニューを確認してみます。
こちらの名物はやはり長崎料理の定番「長崎皿うどん」¥750と「長崎チャンポン」¥750でしょう。今回はその皿うどんも食べられる「ぐらばー弁当(酢豚・皿うどん・唐揚げ・ライス付)」¥1,200と「餃子(7ヶ)」¥320を注文してみました。まずは「餃子(7ヶ)」が運ばれてきます。
京都の中華店で焼餃子を頼むと一人前はだいたい5〜6個がスタンダードですが、こちらは7個とお得ですね。外がパリっと香ばしく焼き上げられた餃子は、中の餡があっさり味でいくらでも食べられる軽い味わい。京都中華らしいやさしい味ながら旨味は濃厚で、思わずノンアルビールを注文してしまいました。これぞ昭和の焼餃子というおいしさが、現在では逆に貴重な味わいと感じます。餃子でノスタルジーにふけっていると「ぐらばー弁当」がやってきました。
このボリュームはまさに街中華です!ノンアルビールを頼んで本当にヨカッタ、と自分自身を褒め称えながら酢豚をつまみます。餃子とは異なり、甘酢しっかりめの濃厚な酢豚です。酢豚はこれぐらいしっかりとした味でないとおいしくありません。そして手羽元の唐揚げは、ほんのりとニンニク・ショウガの下味が香る逸品です。ちょうどいい味付けなのも、さすがは名店と呼ばれるだけはあります。では、いよいよ皿うどんを食べてみましょう。
キャベツ・モヤシ・ニンジンなどの野菜がたっぷりで、エビ・イカ・カマボコ・チクワ・豚バラなどの具もふんだんに入っています。鶏ガラスープベースの餡かけは、塩コショウをかすかに感じるやさしい味わい。麺は糸のような超極細麺がパリパリに揚げられていて、餡かけと絡ませて食べることで絶妙な食感とおいしさが生まれます。栄養価が高く、体も温まりますので、京都の冬には必ず食べていただきたい逸品です。
長年に渡り人気店なのもうなずける街中華店ではないでしょうか。京都では長崎料理のお店をあまり見かけませんので、特に寒い時期には名物の「長崎皿うどん」と「長崎チャンポン」で身も心も元気になっていただきたいと思います。もちろん街中華の各種メニューも高いクオリティですので、単品での注文もおすすめ。千本西陣エリアにお越しの際には、ぜひ昭和から続く名店へお立ち寄りください。
[2019年2月10日訪問]
= せんぼんぐらばー館 =
●住所…京都市上京区笹屋4丁目304-8
●TEL…075-463-6868
●定休日…水曜日および土曜日(日曜日は17時〜21時の夜のみ営業)
●備考…店内禁煙
●ホームページ…なし
※詳細は食べログ「せんぼんぐらばー館」で検索してください。
コメント