伝統と飽くなき探究心から生まれる絶品食堂

和食編
スポンサーリンク

松乃家

curry & grill センボンカリー」をREPORTした際、“同志社大学 今出川キャンパスの周辺はオシャレな飲食店が多い”と書きましたが、烏丸今出川エリア自体はかなり古い街で、昔ながらの飲食店も多数存在しています。古びた食堂や定食屋などは学生だけでなく、地元の方々にも人気です。今回はそんな歴史ある飲食店の中でも、常にお客さんで賑わっている食堂をREPORTしてみました。

訪問時に撮影し忘れていましたので、定休日の日曜日に撮影した外観写真です。

烏丸今出川の交差点を西へ100mほど行き、室町通を北へ200mほど行ったところにある「松乃家(まつのや)」。うどんやそばだけでなく、丼、定食など豊富なメニューが人気で、学生から地元のミドル・シニアにまで幅広い層のお客さんで常に混雑しています。創業は戦前の1940年(昭和15年)で、来年には80年を迎える老舗です。管理人が子どもの頃は正直、そんなに繁盛しているようには見えなかったのですが、現在は時間帯によっては待つことを覚悟するほど。待つのがイヤな管理人はランチタイムをはずして13:45に訪問してみました。

ランチタイムをずらしてもこの繁盛ぶり。幸い4名グループが退店され、お一人様なのに4名テーブル席へ案内されます。直後にミドル男性のお一人様が入ってこられ、相席となりました。相席なんて久しぶりです。いつ以来かちょっと思い出せません。相席に抵抗感はありませんが、それは迎え入れる側のハナシ。こちらからお邪魔する側だと、かなり気を遣います。今回は迎え入れる側でしたので大丈夫でした。まずはメニューを確認してみましょう。

ここまでがスタンダードなメニューで、昔からほぼ変わりないラインナップです。しかし当代のご主人は新メニューを続々と考案されています。そんな意欲的な姿勢が繁盛店へと成長させたのではないでしょうか。では引き続きメニューをご覧ください。

和風カルボナーラのような味わいの「バター釜玉うどん」¥620や濃厚な肉&肉がうれしい「油かすと豚肉のつけ麺」¥850など、これまでのメニューをさらに進化させた新たな味わいを提供し、学生や若い人をも魅了するお店となりました。もちろん従来のメニューも何を食べてもおいしく、特に「かつ丼」¥780や「他人丼」¥780は、その味わいとボリューム感から老若男女に絶大な人気を誇っています。そして管理人が個人的にぜひ食べていただきたいのが「期間限定セットメニュー」の「冷しきつねセット」¥820。「冷しきつねうどん(そばも可)」と「かやくご飯」は暑い日にぜひ食べたいオススメのセットです。

キリリと冷やされたうどんがピカピカ・ツヤツヤで、冷たいツユにぶっかけていただきます。薄揚げ、ニンジン、コンニャク、タケノコなどが入ったかやくご飯は京都人にとっては馴染み深い一品。まずは冷しきつねうどんにツユをぶっかける神聖な儀式を始めましょう。

京風らしからぬ色の濃いツユですが、冷しぶっかけうどんならこれが正解です。薬味の青ネギとワサビもたっぷりで、茹でたホウレンソウもツユをくぐらせることで格段においしくなります。とにかく、自家製麺のうどんからいただきましょう。

しっかりとコシがあるモチモチとした食べごたえのあるうどんです。先日REPORTした「うどん あおい」同様、讃岐うどんのような、うどん本来の風味と食感、味わいを十分に楽しめます。ダシが効いた濃いめのツユとよくからみ、冷たいながらも味わい深いおいしさです。“うどんの旨さ”を五感で堪能できる逸品ではないでしょうか。

冷たい甘ぎつねは、まるでスイーツです。冷たさに負けない甘味が口の中いっぱいに広がり、そして旨味が後から到来する、二度おいしい味わい。甘い物が苦手な方にはオススメできませんが、冷たい甘ぎつねとしては最高レベルの味わいだと断言できます。

かやくご飯は、ダシの風味がふんわりと香る、心が温まるやさしい味わい。魚介や鶏肉などが一切入らない京都のかやくご飯らしい、あっさりとしたおいしさです。具に魚介や鶏肉などが入らないことで、ダシや具材、米からあふれ出る滋味を存分に味わえる必食の一膳だと言えます。

どこの街のうどん店にもありそうなメニューに思えるものの、ここまでレベルの高い味わいはなかなかお目にかかれません。創業80年の伝統と今なお続けられている味への探究が生み出した、傑作と呼ぶにふさわしい「冷しきつねセット」です。烏丸今出川近辺に来られた際には、待つこと覚悟でぜひ立ち寄ってみてください。京都の庶民文化が育んだ味に、きっと満足していただけると思います。

[2019年6月22日訪問]

松乃家
●住所…京都市上京区裏築地町96
●TEL…075-451-3062
●定休日…日曜日(祝日は不定休)
●備考…店内禁煙
●ホームページ…twitter

コメント

タイトルとURLをコピーしました