三嶋亭 大丸京都店
冬は“鍋”の季節です。かに鍋や牡蠣鍋といった季節モノから、魚すき・沖すきやぶりしゃぶなどの魚介系、水炊き・鶏鍋やしし鍋、もつ鍋などの鳥獣系まで、日本全国には多種多様な鍋料理が存在します。北海道の石狩鍋や茨城県のアンコウ鍋など、その土地土地で食べられているご当地鍋も珍しくなく、オデンやキムチ鍋、湯豆腐など、どこのご家庭でもよく食べられている定番鍋も含めれば、数え切れないほどの鍋料理が存在していて、もはや日本国民一人一人にそれぞれ思い入れのある鍋料理があると言い切っても過言ではないでしょう。京都であれば「湯豆腐」や坂本龍馬も愛した「軍鶏鍋」などが有名なものの、管理人が鍋と聞いて真っ先に思い浮かべるのは「すき焼き」です。他県では「サバのすき焼き」などもあるそうですが、海産物に乏しい京都市内で「すき焼き」と言えば牛肉。ただ、昭和中期ぐらいまでは鶏のすき焼きもよく食べられていて、1895年(明治28年)前後に生まれ97歳で他界した生粋の京都人であった管理人の曾祖母は、鶏のすき焼きが何よりのご馳走だと90歳以上になっても言ってました。その血を少しだけ受け継いでいるのでしょうか、管理人もすき焼きが大好き。と言っても鶏ではなく牛ですが。ただ牛肉のすき焼きはまだまだ現役のご馳走で、特にすき焼き専門店のものはハレの日の食事と言えるでしょう。京都市内のすき焼き専門店で指折りの人気と実力を誇るのが寺町京極商店街にある「三嶋亭 本店」です。創業1873年(明治6年)と150年以上の歴史を持つ老舗で、まさにご馳走と呼ぶにふさわしいすき焼きを提供されています。残念ながら管理人の経済事情を考えると、とてもREPORTなどできません。ただ、どうせすき焼きを食べるのなら「三嶋亭」で食べたい。デパートのテナントなら何とかなるのでは?と考えたのが京都タカシマヤの7階にあるレストラン街「ダイニングガーデン 京回廊」にある「三嶋亭 高島屋京都店」。が、しかし。店内飲食メニューで最も安価なのは「すき焼膳」と「あみやき膳」ともに¥2,750で、当ブログ的にはギリギリ大丈夫なものの、アラフィフのオッサンがひとりで来て1番安いメニューを1つだけ注文する、というのは何となくイヤ。しかも今回は晩ご飯、さらに訪問した日は管理人のお誕生日ということもあり、周りが¥6,930の「すき焼き 上コース」や¥9,900の「すき焼き 特選コース」を楽しんでいる横で1番安いメニューを食べるのは、格差社会の象徴として歴史にその名を刻み込まれる可能性もあります。“もう三嶋亭は諦め、チェーン店の牛丼でも食べようかな…”と思った時に浮かんだのが大丸京都店にある「三嶋亭 大丸京都店(みしまてい だいまるきょうとてん)」でした。
こちらは大丸京都店の地下1階にあり、精肉売場の横にイートインスペースがあるお店です。一軒家でもなくデパートのレストラン街でもなくデパ地下、というのが、ちょっとわびしい気がしないではないものの、管理人はデパ地下が大好き。デパ地下の食料品はスーパーなどと比べて割高でたまにしか利用できませんが、高品質なものや珍しい品が多く、見ているだけでウキウキします。今回も大丸京都店のデパ地下でウインドウショッピングを堪能した後、「三嶋亭 大丸京都店」へ。時刻は18:20、早速店内へ入ってみましょう。
イートインスペースらしくカウンター席のみの店内。ミドル男性のお一人様2名が食事をされていて、まさにお一人様での利用のためにあるようなお店です。さすがにこちらで宴会を始める方はいらっしゃらないでしょうから、このコロナ渦での食事にもピッタリ。こちらは大丸京都店に立ち寄ったついでに食事をされる方が多くようですが、管理人のようにこちらを目当てとしたついでに大丸京都店をブラブラするのもアリで、食事だけでなく三嶋亭の上質な牛肉なども購入できます。ではメニューを確認してみましょう。
デパ地下とは言えイートインスペースでこの価格とは、さすがは大丸京都店であり、さすがは三嶋亭。当ブログ的には最高額メニューの「サーロインステーキ膳」¥3,740を除き、ギリギリOKです。管理人が食べたかった「すき焼膳」¥2,530は、普段の食事としては贅沢なものの、三嶋亭のすき焼きと考えればリーズナブル。チェーン店の牛丼価格の4〜5倍ぐらいする「牛肉丼」¥1,870にも興味がありましたが、初志貫徹で「すき焼膳」を注文してみました。
「すき焼膳」が到着。牛肉がツヤッツヤで良い香りが立ちこめます。牛すき焼きに味噌汁、漬物、ご飯、生卵が付くすき焼き定食で、一人鍋の感覚です。すき焼きには牛肉をはじめ、糸コンニャク、麩、豆腐、青ネギ、タマネギが盛り込まれています。すき焼きはどうしても肉ばかりに目が行きがちですが、実は肉の旨味を吸収した脇役もなかなかおいしい。特に豆腐は上等な肉豆腐といった深い味わいがあります。では早速いただきましょう。
京都有数のすき焼き専門店だけあって、申し分のない味付けです。溶き卵をからめてもタレと肉の旨味が薄まることはなく、むしろ卵のコクで増強されたおいしさを実感できます。牛肉はモモ肉でしょうか、旨味は十分ながら、すき焼きとしては少し固めの仕上がり。価格面を考えればすき焼きで最もポピュラーなロース系の牛肉は使えないのでしょうが、個人的にすき焼きには脂身多めの牛肉の方が合うと思いました。ただ、こちらの牛肉は黒毛和牛でしょうから、チェーン店の牛丼で使用されている部位であるバラ肉(ショートプレート)でも高額なのかも知れません。
豆腐や麩、糸コンニャクなどのザクもおいしい。これは立派なビールのツマミであり、ご飯のオカズです。自宅のすき焼きでは牛肉以外はシカトされるためあまり気づきませんが、実は肉に匹敵するおいしさがあります。スミマセン…言い過ぎました、肉に匹敵するはウソです。しかし、豆腐や糸コンニャクの煮物と考えれば相当においしいのは事実でしょう。奮発すればお一人様でご馳走をいただくことができるお店です。大丸京都店のデパ地下で、京都を代表する名店のすき焼きや肉料理各種をぜひお試しください。
[2021年1月9日訪問]
三嶋亭 大丸京都店
●住所…京都市下京区西町79 大丸京都店B1F(Google マップ)
●TEL…075-211-8111
●定休日…大丸京都店定休日に準じる
●備考…禁煙
●ホームページ
コメント