花むらさき
京都市内は観光地が多く、地方都市としては発達していて便利です。物価が高いとか、道路が狭いとか、感じ悪い人が多いとか問題は多数あれど、病院や学校、コンビニ、スーパーなどに困ることもなく、公共交通機関もそれなりに整備されていて、住んでいて不便に感じることは少ないと思います。ただ、自然は少ない。都市部の割りに緑は多めなものの、人工的に造成された緑がほとんどであり、自然な緑は意外に少ない。とは言え自然を求めて原生林などに入ろうものなら、クマをはじめとする野生動物に襲われたり、沢への滑落など大自然の脅威を受けて命すら危うい状況となります。そこで自然を満喫するのにオススメなのが里山です。里山とはザックリ説明すると、都市部と主に山の中の中間に位置する田畑が多い集落および周辺環境を指します。京都の市街地から車やバイクなどで北へ30分も走れば広がる、自然豊かな里山の懐かしさすら感じる風景。今回はそんな里山にある「里の駅 大原」へと向かいました。

“里の駅”について管理人もよく知らず、“道の駅”の兄弟ぐらいの認識だったのですが、地域の食品などの特産品を販売する施設だそうで、京都では「里の駅 大原」が唯一のようです。白川通と国道367号の交差点(花園橋)を国道367号沿いに北東へ7.8kmほど行き、「平塚薬局 大原」があるT字路の交差点(野村別れ)を西へ260mほど行ったところにあります。京都バス大原行き「野村別れ」バス停から徒歩5分程度。「里の駅 大原」から徒歩5分以内には「ファミリーマート 大原三千院店」もあるなど、里山の自然を満喫できながら利便性も高い立地です。こちらでは旬野菜の直売所である「旬菜市場」がメインで、京都府だけでなく他府県からお客さんが訪れます。

また、こだわりの杵つきもち工房「もちの館」のほか、地域の旬野菜をふんだんに使われている食堂・喫茶店「花むらさき」も多くのお客さんに人気です。

こちらは9時〜16時の通し営業で、ランチメニューは11時〜14時。土日や祝日はもちろん、平日でも地元のお客さんを中心に飲食を楽しまれています。時刻は13:15、早速店内へ入ってみましょう。



里山らしい、ノンビリとした空気が流れる店内。地元のお母さんたちが作られるヘルシーでぬくもりのある料理をいただくことができます。管理人は外食をするうえで基本、シロウト料理というものは認めていませんが、お母さんの手料理は別。プロの料理人が作る味ではないものの、素朴で心にしみる食事を味わえます。特に外食がちな人にとっては、こういうオフクロの味もたまにはいいものではないでしょうか。管理人のようなコッテリ派でも、ふと郷愁を誘う家庭の味が食べたくなるのです。50歳のオッサンになって家庭の味の良さに気づくのですが。ではメニューを確認してみましょう。


こちらでおそらく一番人気の「日替わり大原膳」¥770にミニきつねうどんorミニきつねそば、またはコーヒーが付く「日替わり大原膳セット」¥990にしてみました。実は訪問日の前週にもこちらを利用していて、そのときは「冬季限定 大根うどん」¥748をいただきましたので、後ほどREPORTいたします。

「日替わり大原膳セット」が到着。オカズは日替わりで、本日のメインは煮込みハンバーグでした。中央のプレートには5種類の惣菜と、中心には大理石調の丸い石のようなものが鎮座しています。この大理石調の丸い石のようなものは最後にいただきましょう。隣の席のオッサンは“これは何?”と3手目となるマカロニサラダの次に食べていましたが、明らかに失敗です。知っていて序盤に食べるのはOKですが、知らずに序盤はあり得ません。管理人は1手目に味噌汁をチョイス。ダシが効いていてほど良い塩梅の味噌の風味がおいしい。2手目は身体をさらに暖めるべくミニきつねそば。こちらも薄味ながらダシの風味が豊かな蕎麦と甘ぎつねの味わいに心が満たされます。そして3手目は…メインの煮込みハンバーグです。

家のハンバーグです(笑)。当ブログでREPORTしている洋食店のハンバーグとはまったく異なる味わいながら、このニンジンやタマネギとケチャップ風味がなんとも懐かしい。高校生の頃、お弁当に入っていたハンバーグです。生まれてから現在までさまざまな洋食店でハンバーグを食べ、舌も体型もそれなりに肥えていると自負していましたが、このハンバーグもおいしいと素直に感じました。もちろん洋食店のクオリティと比較にはならないものの、これはこれでアリ。肉汁がどうとか、合い挽きミンチの肉質が何だとかではない、大袈裟に言えば魂が揺さぶられる味としか表現のしようがない味わいです。

プレートの惣菜も母の味が感じられるおいしさ。野菜のお浸しや千切り大根といった定番モノや、塩っぱい玉子焼きも京都の家庭で昔から食べられてきた味です。柴漬けは大原のご当地漬物であり、お母さんが頑張って洋風オカズにチャレンジしてみた的なマカロニサラダもなぜかおいしい。マカロニの本場であるイタリアの人が激オコりしそうなマカロニサラダも、日本人にとっては母の味なのです。

そして最後に、このピカピカ泥団子。これは“小さなあんシソ餅”です。隣接する「もちの館」では毎日、餅をつかれていて、そのシソ餅であん餅を作られています。マズいワケがなく〆のデザートとして最高です。むしろこのチョッピリ具合が腹立たしい。たっぷり食べたい人は、「もちの館」で購入しましょう。

先週いただいた「冬季限定 大根うどん」は、この大根が凄い。大根にダシの旨味がしっかりと蓄えられていて、大地の風味が感じられます。冬大根独特の甘みが素晴らしく、九条ネギやショウガといった薬味との相性も抜群。トロトロの餡もあいまって、身体の芯まで温めてくれるうどんです。大原という里山の香りを存分に味わえるおいしさでした。まだまだ厳しい冬は続くものの、里山でも少しずつですが春の兆しが感じられます。近隣には大原三千院などの古刹もありますので、観光などで京都にお越しの際には足を伸ばして、「里の駅 大原」でお買い物を楽しまれてはいかがでしょうか。こちらは喫茶メニューも充実していますので、食事だけでなくちょっと休憩にも便利ですよ。
[2022年2月8日訪問]
花むらさき
●住所…京都市左京区大原野村町1012 里の駅 大原(Google マップ)
●TEL…【里の駅 大原】075-744-4321
●定休日…月曜日(祝日の場合は翌火曜)
●備考…禁煙
●ホームページ
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