はとや食堂
“オデンが一番おいしい季節は夏”と言い切っている人をYouTubeでたまたま見かけ、“ナニ言ってんだ?”とつい視聴してしまいました。YouTubeで料理レシピ動画を配信されている有名な人で、内容は冷やしオデンのレシピだったのですが確かにおいしそう。これだけ猛暑・酷暑が続くと、管理人が大好きな冷やし中華だけでなく、冷たい料理への需要は今後ますます高まるでしょう。フランス料理では温かいポタージュスープを冷製にアレンジしたヴィシソワーズなどがありますし、日本人のイタリアンシェフが考案した冷製パスタは、今や日本のイタリア料理店ではだいたいのお店で提供されています。和食の世界でも冷たいオデンなどの煮物系だけでなく、鮮魚を氷水で〆た洗いなどは古典的な冷製料理の代表格です。他にも日本各地で郷土料理として知られる「冷や汁」などの汁物も冷製スープのようなものですから暑い夏にはピッタリ。ただ、我が京都の汁物と言えば、古くから酒蔵が多い立地であったことから酒粕を使った“粕汁”が人気ではあったものの、あくまで冬のご馳走であり冷たくして食べることはナイ!と思っていました。しかし先日、Twitterのフォロワーさんから“冷やしかす汁”を提供されているお店を教えていただき、訪問してみることに。前回のREPORT「らんたん」のすぐ近くであったことから「らんたん」の「冷メン」を食べたその足で向かう予定だったのですが、「らんたん」の「冷メン」が思いのほかボリューミーだったためハシゴは諦め、日を改めて訪問してみました。

東大路通と丸太町通の交差点(東山丸太町)南西角にある食堂・定食店「はとや食堂」。こちらも昔からあるお店で、管理人が学生時代にはすでに営業されていたように記憶しています。こちらは「らんたん」以上に地元密着型の飲食店で、地元の人をはじめ京都大学医学部附属病院の職員や関係者などに人気でお昼どきは混雑することもしばしば。早朝6時〜18時の通し営業ということもあり、朝食をガッツリ食べたいお客さんにも親しまれているようです。時刻は14時、まずは店頭のメニューを確認してみましょう。





ありました、「冷やしかす汁定食」。おかず2品付¥730・3品付¥950と、昔ながらの定食店らしくリーズナブルな価格設定です。この地域は京都大学をはじめ、多くの学生が集まるエリアである名残りなのでしょう。しかし管理人が気になったのは「冷やし酒かすラーメン」です。おそらく冷やしかす汁をスープとして使われた冷たいラーメンなのでしょうか、これは粕汁好きで冷やし中華好きな京都人である管理人とってはとても刺さるメニューで、食べてみないワケにはいきません。おかず1品が付く「冷やし酒かすラーメン定食」¥950と、¥1,000未満の良心的な価格にもひかれました。では早速、店内へ入ってみましょう。


2名テーブル席が8卓、1名テーブル席が1卓と意外に広い店内。“THE 昔ながらの食堂”といったおもむきながら清潔感もあり、老若男女を問わずお一人様でも利用しやすいのではないでしょうか。大将に「冷やし酒かすラーメン定食」を注文すると、おかずケースからおかずを選ぶ方式でした。

こちらの名物は「煮サバ」です。管理人はもう10年以上ぶりの訪問だったのですが、こちらの「煮サバ」は覚えていました。甘辛に炊かれた脂たっぷりの「煮サバ」は冷たいままでも十分においしいご飯のお供です。ただ、昨夜に煮魚を食べたばかりだったこともあり、今回はパス。昔ながらの定食店の王道メニューと言えばやっぱりコロッケだな、とおかず1品はコロッケ・目玉焼き・ケチャップスバゲティのワンプレートをチョイスしました。

「冷やし酒かすラーメン定食」が到着。湯気さえ出ていればもう完全に粕汁定食ですね。ラー油とコショウも付いていますので味変用でしょう。各テーブルには一味唐辛子も備えられていますので、粕汁と考えれば一味唐辛子も有効です。たっぷりの青ネギにダイコン、ニンジン、油揚げ、豚コマ肉と、京都の冬グルメの風物詩である粕汁そのままの内容となっています。管理人は冷たい粕汁を食べたことがなく、味の想像がまったくつきません。まずは「冷やし酒かすラーメン」のスープからいただきましょう。

ナルホド、冷たいながらも酒かすの風味が口の中に広がる、長年温かい粕汁ばかり食べてきた身としては不思議な感覚になる味わいです。一般的な温かい粕汁の多くは酒かすの固形部分が付いているのに対し、こちらのスープは酒かすが完全に溶け込んでいて、なめらかで食べやすい食感となっています。具材の野菜や豚コマ肉なども冷やされており、暑い夏でもおいしくいただけると感じました。酒かすのクセが良い塩梅で効いている、ちょっとオトナな味の粕汁ではないでしょうか。

麺は中細の中華麺でスープとも良く絡みます。あくまで個人的な感想とはなりますが、粕汁と麺の相性について合わないワケではないものの、あえて合わせる必要もないような気がしないでもない、といったところでしょうか。この冷たい粕汁だけでも夏の汁物として十分に成立しています。とは言え、管理人のように夏は冷やし中華や冷やしラーメンばかり食べていると、京都らしい冷やしラーメンとして新鮮さを覚えるのも事実です。ラーメン好きな人はもちろん、管理人のように夏場は冷やし中華やざる蕎麦ばかり食べている人にはインパクトのある味わいでオススメです。粕汁好きな人にもぜひ体験していただきたいと思いますので、お近くまでお立ち寄りの際には、一度「冷やしかす汁定食」や「冷やし酒かすラーメン定食」を試してみられてはいかがでしょうか。
[2022年7月28日訪問]
はとや食堂
●住所…京都市左京区聖護院山王町43-1(Google マップ)
●TEL…075-771-5595
●定休日…土曜日
●備考①…「冷やし酒かすラーメン」は夏季限定
●備考②…禁煙
●ホームページ…なし
※詳しくは食べログ「はとや食堂」でご確認ください。
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