状元楼
先日、“ガチ中華”のお店として叡電「一乗寺駅」周辺エリアの「天府 四川料理」をREPORTし、そう言えば百万遍にもガチ中華のお店ができていたなぁ…と思い出しました。以前REPORTした「味香園」だった跡地で、「味香園」が閉業された後、餃子店のようなお店となり、そこもほどなくしてお店を閉められ、昨年の2022年(令和4年)8月に開店されたと記憶しています。管理人はこの周辺は頻繁に通っていて、もちろんお店の存在は知っていたものの、店舗が次々に変わる立地は長続きしないことも多いのに加え、コロナ禍真っ只中だったこともあり、またすぐ閉業されるかも…と、REPORTを控えてきました。しかし、そのお店は現在もガッツリ営業されていて、ランチタイムなどはかなり繁盛されています。京都市内でも梅雨は明け、本格的な夏が到来し、スタミナ不足に陥りやすい季節。ここは中国4000年(?)の叡智の結晶でもあるガチ中華で、厳しい夏を乗り越えたいところです。そこで今回は京都市内のプチ中華街とも言える叡電「元田中駅」から徒歩10分程度のところにある本格派の中華料理店へ訪問してみました。

今出川通と東大路通の交差点(百万遍)を東へ200mほど行ったところにある「状元楼(じょうげんろう)」。ネット情報によると中国東北料理をメインとするシェフと、中国南部(おそらく四川料理や福建料理)の料理をメインとするシェフによる、バリエーション豊富な中国の郷土料理を提供されているそうです。日本ではこれまで“中華料理”や“中国料理”と、一括りにする傾向にありましたが、実際には“四大料理”と呼ばれる「北京料理」「上海料理」「広東料理」「四川料理」をはじめ、さらに6以上の地方料理が存在します。よく考えれば当たり前のハナシで、日本のような狭い国土の国ですら各都道府県ごとに独自の料理や調理法があるのですから、国土が広い中国なら料理にもより地域性が反映されるのでしょう。日本の昔ながらの中華店はほぼ「広東料理」ベースで、海鮮料理などを多く提供されているなら「上海料理」、最近多くのお店が生まれている「四川料理」ぐらいでしたが、中国の発展やグローバル化の波により、最近ではこれまで食べた機会がほとんどなかった中国の各地方料理をいただくことができるようになりました。京都市内でも“ガチ中華”のお店はもう珍しくなく、街並みに溶け込んでいるように感じます。時刻は12時、まずは店頭のメニューを確認してみましょう。



定食・セット類はランチ限定のようで、夜は一品料理を主体としたより本格派の中華料理店となっています。12種類の定食と麺+飯のセット4種類はすべて¥880と、¥1,000でオツリが来るリーズナブルさ。京都大学に近い立地だけに、学生でも安心して利用できる価格設定となっています。メニューも「麻婆豆腐套餐(麻婆豆腐セット)」のような馴染み深いものもあれば、「炒肚片套餐(豚胃袋炒めセット)」といったガチ中華らしい料理まで豊富にラインナップされていて、中華初心者からベテランまで満足できるのではないでしょうか。合計16種類の定食・セット類から悩みに悩んだものの、今回は「干烧虾仁套餐(エビチリセット)」に決定。ガチ中華のエビチリとはどのような味なのかを確認したいと思いました。ちなみに夜のメニューは食べログなどで確認可能。では店内へ入ってみましょう。


2名テーブル席3卓と4名テーブル席5卓の店内。2名テーブル席があるため、お一人様でも安心して利用できます。ランチタイムはかなり混雑していて、管理人が入店直後にはほぼ満席となってしまいました。さすがはガチ中華店、お客さんも中国の人が多い印象ですが、学生や近隣のビジネスパーソンなども食事されています。店員さんもカタコトの日本語と、こちらもガチ中国。サテ、注文しようかな…と思っていると、卓上のQRコードを促されます。そう、こちらではスマホなどのデバイスでQRコードを読み取り、サイトからメニューを選んでそのまま注文するという、最先端?オーダーシステムを採用されていました。これならカタコトの店員さんと会話せずとも注文できて安心ですね。管理人は若い頃から麻雀で鍛えた中国語を駆使して店員さんと会話しようと考えていたものの、どうやらまったく不要なスキルだったようです。まぁ、店員さんも、いきなり「ポン!」とか呼びかけられても困惑するしかないと思いますが。50歳超のオッサンである老眼著しい管理人もスマホを操作しながら、どうにか「干烧虾仁套餐(エビチリセット)」を注文できました。

「干烧虾仁套餐(エビチリセット)」が到着。中サイズのむきエビ8尾のエビチリと玉子スープ、漬物、ゴマ団子、ご飯の陣容です。まずは玉子スープをひとすすり、ウン、これは本格派の中華店の味。町中華店や大衆中華店のスープは鶏ガラベースの、いわゆるラーメンスープのお店が多いですが、中国の調理人のお店は玉子スープが主流でしょう。具は玉子とワカメで本当に優しい味わいです。体調を崩して食欲がないときなどでも、このスープなら飲み干せそうなほど薄味仕立て。ミドル・シニア層や女性にも受け入れられやすいスープではないでしょうか。ではいよいよ、メインのエビチリをいただきます。

エビのプリップリ感がとにかくうれしい。片栗粉などでコーティングされている本格仕様でエビのトゥルンとした食感や甘さ、旨味を存分に堪能できます。そしてチリソースは意外や意外、ホンノリとしたピリ辛でかなり上品な味わい。こちらのエビチリはトマトケチャップを使用されている日本人にもお馴染みのタイプではあるものの、優しい酸味と甘味に抑えられていて、激辛などとは無縁のエビチリです。四川料理店のエビチリや麻婆豆腐は本格志向の場合、管理人が号泣するほどの辛さだったりするのですが、こちらのエビチリなら辛いのが得意でない人でもおそらく大丈夫。また、大衆中華店にありがちな、ケチャップの味しかしないようなエビチリではなく、エビそのものをしっかりと楽しむことができます。ただ、正直に言うと、アルコールなどのツマミとしては申し分ありませんが、ご飯のオカズとしては上品過ぎて少し微妙かも知れません。ご飯のオカズとしてならもう少しパンチの効いた味付けの方が良いかも…と思いつつ、このあたりは個人の好みに左右される部分でしょうから、実際に食べてみられて判断していただきたいと感じました。とは言え、激辛やケチャップまみれのエビチリとは比べられないおいしさです。また、揚げたてのゴマ団子は個人的にスイーツではかなり上位に入りおいしさでした。こちらでは日本人にも馴染み深い肉料理の定食も豊富ですので、ガチ中華でも抵抗なく利用できるでしょう。百万遍近辺にお越しの際、ガチ中華を試してみたい人は、ぜひこちらまで足を伸ばされてみてはいかがでしょうか。
[2023年7月19日訪問]
状元楼
●住所…京都市左京区田中門前町102(Google マップ)
●TEL…075-722-1788
●定休日…不定休
●備考…禁煙
●ホームページ…なし
※詳しくは食べログ「状元楼」をご確認ください。
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