広東料理 鳳泉
当ブログの「2018冷やし中華」でもたびたびご登場いただいた京都中華の祖・高華吉氏。京都初の中華料理店「ハマムラ」の初代総料理長に就任、独立後いくつかの店舗を開業され、最後にご自身の集大成となる「鳳舞(ほうまい)」を京都市北区の紫明通沿いにオープンされました。管理人がまだ幼稚園や小学校低学年の頃に祖父母に何度か連れられ、料理を食べさせていただいた記憶があります。
当時、日本テレビ系列で堺正章さん主演のTVドラマ「西遊記」が放送されていました。そのドラマに出てくる料理店と、鳳舞の外観や内観がよく似ていると、子ども心に思っていたのを今でもはっきりと覚えています。どの料理も味つけはかなり薄味で、幼かった管理人は“もっとガツンとした中華が食べたい”と少し不満に思っていました。もちろん、開業してすぐ名店としての地位を確立され繁盛していましたが、2009年8月31日に惜しまれつつ閉店。
その鳳舞で働いていた料理人たちの何名かが「鳳」の字がつく店名を戴き、京都で独立されました。そして現在、管理人が調べた範囲では、“鳳系”のお店は京都市内におそらく7店舗存在しています。本日9月2日は外出する予定がなかったものの、知り合いから夕食に誘われ、しかもお店をリクエストされこともあり、今回は“鳳系”のお店の一つ、河原町二条の「cakes&beer カヌレ」から徒歩約20歩(近っ!!)北にある「広東料理 鳳泉(ほうせん)」を訪問しました。
昼は行列ができるほどの人気店で、実は管理人も今年2018年の7月に訪問しています。ただ、かなり並ばないといけなかったことに加え、そもそも冷やし中華を提供していないことも判明したため、その時は入店することなく退散。そう考えると1年以上、鳳泉の料理を食べていないことになります。ちなみに“鳳系”(というより高華吉氏系)のお店の見分け方として、あくまで管理人の独断ですが「春巻」を注文し、玉子生地で巻かれていたら高華吉氏系店舗の確率が高いです。通常の春巻の皮がパリパリなのに比べ、高華吉氏系店舗の春巻の皮はしっとりとしたやわらかな玉子生地。管理人は春巻が大好きなのですが、正直、玉子生地の春巻は好みではないので敏感になっています。
19時、鳳泉前に到着。行列はできていません。知り合いと合流し店内へ。幸い、半数程度の席が空いていたので、並ばずに座ることができました。お腹があまり減っていなかったこともあり、二人でまず3品と飲み物を注文。まずは「炒雑砕(カヤクニツケ)」¥970、八宝菜ですね。

京都中華の真髄が…と言いたいところですが、意外としっかりとした味つけです。上品な味わいなのですが、恐らく白飯と合わせてもおいしいギリギリの塩味のような気がします。もちろんノンアルコールビールにもぴったり。素材と調味料の味で重層的な仕上がりとなっています。
次に「炒裡脊肉(ブタテンプラ)」¥970です。

豚ロースが揚げられ、旨味が濃縮された一皿。火の通し具合もよく、揚げた豚ロースが固くならずにやわらかなおいしさです。
そして「古老肉(スブタ)」¥1,080。

これは京都中華です。やわらかでふんわりとした甘酢をまとった豚肉が、ブタテンプラとはまったく異なる料理になっています。味つけが薄い訳ではなく、酢も醤油も主張しない絶妙な味加減。でも食べると“酢豚”だとすぐにわかる、京都中華らしい味を楽しめます。
二人で3品を食べ、お腹いっぱいになってしまいました。お一人様での訪問なら、まず様子見で1〜2品オーダーされると良いと思います。〆として管理人は「炒飯(ヤキメシ)」¥645を選択。このブログ的には名物の「撈麺(エビカシワソバ)」¥755を食べるべきなのでしょうが、蒸し暑さで熱い汁ソバを食べる気分ではなかったため今回はご勘弁ください。

炒飯も京都中華の炒飯です。炊き込みご飯のような優しい味つけの炒飯。普段、管理人が食べている中華チェーンの焼飯もおいしいのですが、この上品な炒飯なら少々お腹がいっぱいでも、ついつい食べることができます。
高華吉氏が取り組まれた最後の中華料理店「鳳舞」の伝統と精神を、今に伝える数少ない貴重なお店です。大人になり京都中華の良さを理解し始めた管理人にとって、今回の訪問は改めて勉強になりました。料理の価格もリーズナブルで気軽に普段使いできるのもうれしいお店です。京都へ訪問された方は、ぜひ正統な京都中華も味わってみてください。
[2018年9月2日訪問]
= 広東料理 鳳泉 =
●住所…京都市中京区河原町清水町359 ABビル1F
●TEL…075-241-6288
●定休日…月曜日(但し祝日の場合は翌日休み)
●備考…店内禁煙
●ホームページ…なし
※詳細は食べログ「広東料理 鳳泉」で検索してください。
コメント