京都・紫野の人々に愛さる“鳳系”広東料理店

中華編
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廣東餐館 鳳飛

当ブログのREPORTでよく使っている「薄味」という言葉について、誤解があるといけませんのでこの場をお借りして少し説明させていただきます。管理人が思う「薄味」とは、砂糖や塩などの調味料の味よりも素材やダシの旨味がはっきり感じられる味付けのことで、ネガティブなイメージは持ちません。単に味が薄い味付けのことを京都や大阪などでは「水くさい」と表現し、こちらは否定的な意味合いを含みます。“薄味でおいしい”と言うことはあっても、“水くさくておいしい”とは言いません。

薄味(京都風の味)と言えば、素材やダシの旨味が感じられるおいしさが特徴です。その代表は京料理でしょうか。そして、当ブログの「2018冷やし中華」や「中華編」では準レギュラー的に紹介している高華吉氏の影響を受けた京都中華の料理もはずせません。今回は高華吉氏の薫陶を受けた料理店の中から、堀川北大路を北へ300mほど歩いた所にある「廣東餐館 鳳飛(かんとんさんかん ほうひ)」をご紹介します。

「廣東餐館 鳳飛」は「広東料理 鳳泉」と同様、かつて高華吉氏が最後に手がけた「鳳舞(ほうまい)」の料理人が独立した“鳳系”のお店です。一説によると同じく高華吉氏がオーナーを務められた中華料理店「飛雲」からも名前を戴き、「鳳飛」として開業したとも言われています。現在の鳳飛は2年ほど前に改装され、ご子息に代替わりされていますが、メニューなどは以前とほとんど変わっていません。では早速、京都中華の味を現代に継承する名店へ向かいましょう。

本日10月28日は日曜日ということもあり、普段以上の混雑が予想されました。並ぶことが嫌いな管理人は、ランチタイムのラストオーダー13:30に到着 したものの、やはり一組が待っている状態です。少ししてカウンター席が空いたため、数分待つだけで入店できました。

改装されてまだ日も浅いためか、清潔感のある店内です。大量の招き猫が並べられ、常に混雑しているのもわかるような気がします。こちらの名物は「鳳舞」でも名物料理として知られた「椒醤酥鶏(からし鶏)」¥950でしょう。また“鳳系”のお店でよく提供される「撈麺(カラシソバ)」ですが、メニューにはありません。しかし管理人は数年前の夜に訪問した際、メニューにないにも関わらず注文したところ、当たり前のように作っていただけました。本日のような忙しいときに注文してはいけませんが、夜などですいている状況であれば作っていただけるのではないでしょうか。今回は名物の「椒醤酥鶏(からし鶏)」と「炒飯(やきめし)」¥580を注文してみました。

まずは「炒飯(やきめし)」をいただきます。

鳳舞の味です。以前REPORTした「広東料理 鳳泉」の「炒飯(ヤキメシ)」とそっくりの味わいですが、具のエビがプラスされていて、より旨味が増している印象です。奥深い薄味の炒飯はラードなどの脂臭さも感じられず、とてもあっさりとしていて何杯でも食べられそうな、京都中華を代表する逸品ではないでしょうか。

そして名物「椒醤酥鶏(からし鶏)」が運ばれて来ました。

鶏のから揚げに甘酸っぱく唐辛子を効かせた餡がたっぷりと掛けられています。急いで食べるとムセるので要注意です。一切れ、箸でつまんでみましょう。

酢豚(酢鶏?)っぽいビジュアルです。たっぷりの餡を鶏のから揚げにからめていただきます。ボリュームのある鶏のから揚げに、甘酸っぱい餡の味わいが加わり、そして心地いい辛味が口の中で広がる贅沢な味わい。甘味・塩味・酸味・辛味と旨味の調和が取れた、スペシャリテと呼ぶにふさわしい一皿です。全体的にギリギリまで抑えられた味付けながら、複雑で重層的な味わいが奏でるおいしさは、他に類を見ません。ご飯にも合いますが、ビールのツマミとしても最上の部類に入る料理ではないでしょうか。メニューにノンアルコールビールがなかったのは悔やまれます。普通のビールは用意されていますのでご安心ください。

お一人様でも入りやすい地元民に人気の名店です。複数人で訪問される場合は、昼・夜とも予約された方が確実でしょう。堀川北大路という決して立地的に恵まれた場所ではありませんが、行って味わう価値は十分にあります。京都中華を代表する“鳳系”のお店の中でも、「鳳舞」の味を特に色濃く残す薄味のおいしさを、「鳳飛」で心ゆくまでじっくりとご堪能ください。

[2018年10月28日訪問]

廣東餐館 鳳飛
●住所…京都市北区紫野下鳥田町37-1
●TEL…075-493-5025
●定休日…火曜日および水曜日
●備考…店内禁煙
●ホームページ…なし
※詳細は食べログ「鳳飛」で検索してください。

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