十割手打蕎麦 みとしろ
うどん文化圏である関西にもかかわらず京都人は蕎麦が大好きで、いたるところに蕎麦屋があるものの、蕎麦の産地ではないためか歴史的に十割蕎麦を提供するお店はごく少数に限られていたと思います。しかし1970年代に入ると“これが蕎麦本来の味なんやで”と蕎麦の風味を主張する十割蕎麦のお店が増え、特に蕎麦ツウの間で人気となりました。管理人は伝統的な二八蕎麦(小麦粉2:蕎麦粉8で配合された蕎麦)も好きなのですが、確かに風味では十割蕎麦に軍配が上がります。
ただ、二八蕎麦には十割蕎麦に負けない特徴があるのも事実です。まず食感、そして喉越し。ツルツルとなめらかな舌触りは二八蕎麦ならでは。しかも十割蕎麦を熱いダシに入れるとふやけるので、温かい蕎麦を食べたい場合は必然的につなぎの入った二八蕎麦になります、と「蕎麦 ろうじな」のREPORTで思いっきり書いていました。実は大間違いなことを偉そうに書いていたのではないか?と先程伺った「十割手打蕎麦 みとしろ」の蕎麦を食べ、現在反省しています。

「10:みその橋 サカイ」をさらに西へ400mほど行ったところにある十割手打蕎麦店です。9年前にこちらのへんぴなお店に移転開業され、多くの蕎麦ツウや蕎麦好きで賑わっています。


店頭のメニューにもハッキリと“全品十割”と明記されるほど、十割蕎麦にこだわられているお店です。しかも温かい蕎麦も十割蕎麦なんだとか。この時点で「温かい十割蕎麦」は商品として成立している訳で、管理人の唱える「温かい蕎麦に十割蕎麦はない」説は大嘘だったことが判明しました。調べてみると、わずかながら「温かい十割蕎麦」を提供しているお店はあるようで、蕎麦職人の技量や思想に関係するそうです。そんなものは例外ですのでなかったことにして、店内へ伺いましょう。

昼は14:30に閉店されるこちらのお店。閉店間際の14時に到着したためか、お客さんはご家族1組だけでした。では改めてメニューを確認しましょう。

真相を究明するためには温かい蕎麦を注文しないといけないのでしょうが、管理人にとって不都合な結果になることだけは避けたいので、「エビ天せいろ(天然エビ)」¥1,390を注文しました。いわゆる天ざるです。十割蕎麦は冷たい蕎麦が最高ですよ、きっと。

早速「エビ天せいろ(天然エビ)」が到着しました。お店の方から「薬味は蕎麦に乗せて食べていただくとよりおいしくなりますよ」とアドバイスされます。薬味はワサビ・小ネギ・辛味大根の3種類。蕎麦ツユはお猪口に少しだけの関東風で、蕎麦をツユにちょっぴりつけていただく粋なスタイルです。まずは辛味大根でいただいてみましょう。

十割蕎麦とは思えない、なめらかな食感に驚きました!コシもしっかりとあり、喉越しもスムーズです。蕎麦の風味は十割蕎麦としては若干弱いように感じましたが、それでも蕎麦の味がしっかりと口の中に広がります。濃厚な蕎麦ツユと薬味の辛味大根がアクセントしてよく効いていて、おいしくいただくことができました。一口目は天ぷらの横にある岩塩で薬味をつけずにいただくと、より蕎麦の風味を感じられたかも知れません。ワサビや小ネギでも試してみましたが、蕎麦とのマッチングは辛味大根がベストだったように思います。次にエビ天を食べてみましょう。

岩塩の旨味でエビがとにかく甘く感じられる逸品です。揚げ加減も絶妙で、これは岩塩でいただくのがエビ本来の味わいを一番理解できると実感しました。“天然エビ”と書かれていましたが、やはり天然物は養殖物にはない滋味や深い味わいがあるのかも知れません。シメジの天ぷらも申し分のないおいしさです。天ぷら店でいただくような上品で素材を活かした味わいを堪能することができました。
十割蕎麦とは思えないなめらかな食感、そして天ぷらの旨さに驚いたREPORTとなりました。「温かい十割蕎麦」の真相を解明するべく、心が落ち着いたらもう一度伺って温かい蕎麦を食べてみたいと思います。京都で十割蕎麦が食べたい!と希望される方は、ぜひ一度お試しください。地下鉄「北大路駅」から約2kmありますので、市バス「大宮総門口町」のバス停から3分ほど歩かれるか、自動車でドライブがてらに訪問されることをオススメします。
[2019年2月11日訪問]
= 十割手打蕎麦 みとしろ =
●住所…京都市北区大宮西総門口町45
●TEL…075-493-3990
●定休日…日曜日および金曜日(夜18:30〜20:00、昼は営業)
●備考…店内禁煙
●ホームページ…なし
※詳細は食べログ「みとしろ」で検索してください。
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